親権
目次
親権とは?
親権とは未成年者の子どもの身上監護権と財産管理権のことをいいます。
親権者を決めるには?
親権者を決める手続
協議離婚の場合は、話し合いにより親権者を決めます。未成子どもがいる場合に離婚をするためには,必ず、親権者を決めなければ、離婚はできません。
親権者を決める話し合いで決まらないときは、離婚調停の中で親権の話し合いをします。調停でも話し合いがきできない場合は、離婚訴訟で親権を主張し、親権者をどちらにするかを裁判所が判決で定めることになります。
親権者を決める基準
親権者を決めるには、子の利益(民法819条)および福祉を基準に判断します。
問題は、誰を親権者とするかが子の福祉にとって適切かということです。
子の判断は様々な事情を総合的に考慮して判断します。具体的には以下のような基準を考慮します。
①子どもに対する愛情の度合い
②精神的・経済的環境(資産・収入・生活態度など)
③親族など監護権者の存在
④監護能力(年齢・性格・教養・健康状態など)
⑤住宅、学校などの生活環境
⑥子どもの年齢や性別、心身の発育状況
各基準をもう少し具体的に説明します。
母性優先の基準
母性優先の原則とは、乳幼児については、特段の事情がない限り、母親の監護養育に委ねることが子の福祉に合致するという考え方です。
しかし、最近では、生物学上の母親を優先するのではなく、子どもとの関係で子どもが誰との間で心理的関係をより緊密に形成しているかを考慮するようになっています。つまり、母性的役割を果たしている養育者との関係を考えます。
継続性の基準
環境の変化は、子どもに重大な影響を与えかねません。養育者が変更されることになり、住環境、学校環境に変動をもたらすことにもなります。このように子どもの環境を変化させてでも、養育していない方の親を親権者と指定することが適切かが問題となります。
実際の裁判実務では、この継続性の基準が重要な役割を果たしています。
子の意思の尊重
子どもの真意も重要な基準となります。
人事訴訟法は15歳以上の子の陳述を聴取しなければならないと定めており、家事事件手続法においても、子の意見の把握・尊重を定めています。
おおむね10歳前後であれば、意思を尊重する能力に問題ないとされています。
ただ、両親の離婚という状況で、子どもが真意にもとづいて意見を述べているといえるかは、判断が難しく、子どもの態度や行動を観察する必要があります。
兄弟不分離の原則
幼児期の兄弟を分離すべきではないという考え方です。裁判所が兄弟を分離する判断することは、通常はありません。
家庭裁判所調査官の関与
家庭裁判所は、誰を親権者とするかについて、当事者双方の主張、資料をもとに判断します。
この資料を収集するために、家庭裁判所調査官が調査を行います。家庭裁判所調査官は、父母それぞれと面談し、子どもとも面談して、学校、監護補助者についても調査します。
そして、調査結果を報告書にして、提出します。この報告書には通常、家庭裁判所調査官の意見も付されています。この報告書は裁判所が判断するにあたって、補充的に用いられることになっていますが、実際には家庭裁判所調査官の意見は、非常に重要な資料となっています。
親権を主張する場合は、子どもの環境を整え、将来の展望なども考えておく必要があります。親権の決定は子どもの福祉を中心に考えなければならず、非常に難しい問題です。早めに専門家に相談しおくべきでしょう。
親権者の変更はできるのか?
離婚後に親権者を変更することは、合意ではできません。
必ず、親権者変更の調停を申し立てる必要があります。
しかし、実際にはそう簡単に親権者を変更することはできません。子どもが虐待されているなど、親権者を変更する必要性が高いことが必要です。
このように後から親権者を変更すること難しく、離婚の際に適切に定めておくことが必要です。