生活費を渡してくれない

1 夫婦には協力・扶助義務がある

夫婦は互いに協力し、助け合う義務があります。
これを協力・扶助義務と言い、互いに助け合って家庭を築いていきます。

生活費は、夫婦生活を築いていくためには必須のものです。法律で夫婦間に婚姻費用分担義務が定められていることからも、生活費を分担しなければいけないことは協力・扶助義務に含まれることになります。

2 生活費を渡さない夫との離婚

経済的DVという言葉があります。

必要最低限の生活を送るのにも支障が出るような生活費を渡さない場合などは経済的DVといえるでしょう。

この場合には、民法の定める離婚原因である「悪意の遺棄」にあたるでしょう。悪意の遺棄に該当すれば、離婚は認められ、場合によっては慰謝料が認められる可能性もあります。

もっとも、家庭によって必要な生活費がどれくらいなのかは各家庭によって差があります。生活費を渡さない理由も問題になるでしょう。単にお金を渡したくないだけというような理由であれば経済的DVとして「悪意の遺棄」に当たるでしょうが、リストラされて生活費を渡さないというのであれば「悪意の遺棄」には当たらないでしょう。

「悪意の遺棄」に当たらないとしても、「婚姻を継続しがたい重大事由」に当たることはあります。
「悪意の遺棄」は、遺棄すれば婚姻生活が送れなくなるという事実を知っているだけでなく、それを容認する意思と言われています。これを立証することが難しい場合もあり、裁判では、「悪意の遺棄」だけでなく、「婚姻を継続しがたい重大事由」に当たることを主張していきます。

どのように法的に考えれば裁判所が離婚を認めやすいかを検討し、主張していくことが重要です。

3 生活費を渡してくれない場合にとるべき手段

同居している場合には、話し合いと説得で解決する場合もありますが、生活費の不払いが継続すると生活がままならなくなってしまいます。

できるだけ早急に婚姻費用分担調停を申し立て、調停で婚姻費用の合意をすべきです。

調停で合意すれば、調停調書が作成され、婚姻費用を支払わないときに給与や預金の差し押さえが可能になります。

4 早めの対応が必要

生活費を渡さない場合は、離婚と婚姻費用両方の問題があります。
早めにご相談いただき、迅速な対応をすることが必須です。

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弁護士法人アイリス

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