浪費家の妻と離婚する方法
「家計を全て妻に任せていたところ、妻が高額の商品を購入していた。
「気づけば妻が多額の借金をしていた」
といった悩みを抱える男性は少なくありません。
実際、離婚を決意した男性の離婚理由の第7位が「妻の浪費」となっています。
ここでは、妻の浪費を原因として離婚したいと考えている場合の離婚の進め方についてお話します。
目次
(1)妻の浪費癖で離婚が出来るか
浪費癖とは、具体的には下記のような特徴が挙げられます。
・ブランド品など、高額のショッピングを繰り返す
収入の範囲で無理のない程度にブランド品を購入するのであれば、問題にはなりませんが、収入と比して余りに高額な商品を必要以上に購入し続けたら、浪費と評価できるでしょう。
・クレジット払いやリボ払い、キャッシングをする
収入とのバランスを欠いて商品を購入して出費を重ねれば、手元の現金が徐々に不足していきます。そのため、クレジット払いやリボ払い等を利用して、手元にお金がなくても商品を購入して借金が増えていくこととなれば、浪費ということが出来ます。キャッシングも、手元の現金の不足を補うための手段ですので、同じことが言えます。
・ギャンブルやネット課金
ギャンブルやネットゲーム等への課金も、我慢することが出来ずに度を越えて生活を圧迫するほどに費消してしまうのは浪費といえ、最後には借金につながります。
このような妻の浪費癖は離婚の理由になるのでしょうか。この点、民法には離婚が認められる理由が限定的に列挙されているのですが、「浪費」という項目はありません。ですので、浪費が「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認められた場合に限って離婚が認められることとなります。そこで、「浪費が余りにひどく、これ以上夫婦関係・家族関係を継続することは一般的にみて難しい」と評価してもらうために、妻の金遣いが荒いことを立証する証拠(レシート、クレジットカード明細、借金の明細等)を出来るだけ多く集めておくことをお勧めします。
(2)妻の借金は負担しなければならないのか
大原則として、借金などの債務は、借りた人のみが負うものであって、連帯債務者や保証人になっていない限り、たとえ妻の借金であっても、別人格である夫には支払義務はありません。
ただし、妻の借金が夫婦・家族の生活を維持するためのものである場合には、「日常家事債務」として、例外的に夫婦が共に支払いを負担する可能性があります。「日常家事債務」に該当するかどうかは、購入した物が何か、価格はどの程度か、夫婦の収入はどの程度か等の事情を総合的にみて決まります。ですので、収入をはるかに超えるような浪費であれば、「日常家事債務」とは言えず、夫に支払義務は発生しません。
(3)財産分与
夫婦が結婚してから築いた財産は、名義を問わず「共有財産」として財産分与の対象であり、その割合は原則1/2ずつとなります。
とはいえ、夫婦の一方が浪費しているにもかかわらず、手元に残されて財産については1/2ずつとされてしまっては、踏んだり蹴ったりとなってしまいます。そこで、妻の浪費が原因で共有財産が目減りしたことが明らかな場合には、これを主張・立証して妻への分与額や分与割合を減らす(支出の持ち戻し)主張をしてみることも有益です。なお、この主張が認められるか否かは、当該支出が「不合理」であることが必要となり、支出金額や夫婦の収入額、貯蓄額、支出目的の合理性といった事情を総合的に判断して決めることとなります。
(4)親権
日本では、親権は9割以上妻が取得しており、単に妻に浪費があるというだけでは、やはり妻が親権を得ることは十分考えられます。ですが、妻の浪費癖が酷く子どもの生活自体が脅かされたり、子どもを監護する環境が整わない(子どもを家に置いたままパチンコに出かける等)といった事情がある場合には、父親こそが親権者としてふさわしいと認められることがあります。
このように、妻の浪費癖を理由とした離婚には検討すべき点が多く、場合によっては、離婚自体が難航する可能性もあります。これまで何度も話し合いをして改善を試みたけれども、妻の浪費癖がどうしても治らず、これ以上夫婦としての関係を続けることは難しいと判断された場合には、出来るだけ早く弁護士に相談され、離婚を進めていくための対策を立てていかれることをお勧めします。